5月21日のテキサス・レンジャース戦でのイチロー選手。背番号51の姿はファンの思い出となる。
シアトルの「顔」として活躍してきたマリナーズのイチロー外野手が23日、交換トレードによりニューヨーク・ヤンキースへ移籍することが発表された。移籍当日から新背番号31のユニホームに身を包み、当地マリナーズ戦に出場。ファンからは惜別の大歓声が沸き起こった。
「シアトルの顔」としての11年半。日本野球界をけん引し、大きな実績と期待を受けての大リーグ移籍は、2000年11月だった。ポスティングシステムを利用し、落札先のマリナーズと3年1400万㌦で契約。パワー重視の傾向を見せていた大リーグに、スピードや技術といった野球の醍醐味をファンに改めて認知させた。
所属初年、チームはア・リーグ記録となる116勝、自身も新人王や最優秀選手賞(MVP)といった賞を総なめし、一気にリーグの中心選手となった。同年に記録した242本安打から10年連続で年間200本安打を達成。04年には大リーグ新記録となる262本安打を放った。
打撃のみならず、守備でもリーグ随一の実力を発揮。01年から10年連続でゴールドグラブ賞を獲得し、オールスターにも10年連続出場を果たした。07年には5年9000万㌦と現役スター選手と肩を並べる契約を勝ち取った。
一方でチームは移籍当初こそ高勝率を維持していたが、04年以降の若返りに失敗。3年連続を含め地区最下位は6度を記録し、現在のチーム再生計画の中で、契約最終年で最高齢のイチロー選手の去就は、たびたび地元メディアに取り上げられてきた。
マリナーズによると、今回の移籍はイチロー選手側からの打診で、新たな刺激を求める同選手と、若手起用を方針とするチーム、補強を必要としたヤンキースとの利害が一致した形だ。
イチロー選手は、マリナーズの所属11年半で1844試合出場、通算打率・322、安打数2533本、99本塁打、633打点、438盗塁、1176得点。安打数、三塁打数、得点はチーム記録となっている。
イチロー選手はヤンキースの8番ライトで23日の試合に出場、ファンからの万来の拍手に打席をはずし謝意を表し、惜別の中前打、盗塁を記録、雄姿をファンの眼に残した。